yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

家畜人ヤプー 第二巻

家畜人ヤプー 第二巻】沼正三 幻冬社アウトロー文庫 ★★★ 2005.10.15

 

 およそ一年振りに読み進む。第二巻。

 ユートピア小説/反ユートピア小説というものが、少し分かってきたように思う。つまり、ユートピア/反ユートピアという“世界”を打ち立てたということがまずあって、後はその世界を微に入り細に穿って語るばかりのルポルタージュなのだということ。本書にはクララとリンという主人公がいるものの、彼女/彼らのストーリィはあまりにも矮小だ。もちろん登場人物を介して世界を語る方法は、本書にも見られるし、他の多くの小説でも採られる形式だが、クララやリンをほっぽり出しておいてまで作者が顔を出し、著述を執拗に世界に向かわす点が、通常の小説と異なる。

 第二巻では、世界を成り立たせるシステムが、更に詳述された。記紀と符合する牽強付会な諸説が面白い。