yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

黄色い部屋の謎

【黄色い部屋の謎】ガストン・ルルー 宮崎嶺雄訳 創元推理文庫 ★★★★ 2005.12.30

 

 名作古典ミステリということで読んでみた。密室ものとして事前に聞き知っていた。

 冒頭から贅沢で最大の謎掛け(密室)があり、いきなり引き込まれる。これまで幾つかの密室ものを読んできた身にとっては、密室の謎一つで勝負にくる話には大した期待をしなくなってしまっているのだけれど、本書刊行当時はまだまだ密室の歴史は浅かったようで、その取り扱いが非常に大事にされてい、良い具合に煽動的だ。それに加えて城の方での謎も気が利いていれば、探偵同士の対決も興がある。中盤、不可解なルールタビーユの言葉も面白くはあるけれど、ラルサンの緻密な探偵的仕草はホームズばりに目を奪われはしないか。

 本格のお堅い風情もありながら、フランス風ののりの良さも多分に湛えている。

 エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」、コナン・ドイルの「まだらの紐」のねたばれがある(p.94,95)ので、これらを読んでから読むと良さそう。