yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

死体の冷めないうちに

【死体の冷めないうちに】芦辺拓 双葉文庫 ★★★ 2005.9.13

 

 自治体警察局という組織が存在する現実に肉薄したパラレルワールドを舞台にした連作短篇ミステリ。山田正紀氏の「女囮捜査官」シリーズや貫井徳郎氏の「症候群」シリーズなどを髣髴とさせる。

 選挙直後という時期的な効果か、政治絡みの斜に構えたような意見がちらちらと目に付いてしまうが、基本的には週刊ドラマのように歯切れ良く読めた。最終篇の終わり方が安っぽいのも愛嬌がある。

 謎や設定が一々捻(ひね)くれていて、成る程これだけ捻れば、固く絞ってもう一滴も出ないと思われていた濡れタオルからも、出るものがあるのだなという感じ。爆薬のない時限爆弾の話が秀逸だった。