【猫は知っていた】仁木悦子 講談社文庫 ★★★ 2005.9.23 第3回江戸川乱歩賞受賞作
仁木悦子初読み。ほんわかとぼけた田園風味の天藤真的な作風かと思いきや、思いの外“本格”ミステリだった。ところがトリック等の説明を読んでいてもいまいち脳内で再現されず、あまり楽しめず。それになぜ仁木兄が、あれほどに探偵興味を持つのか終始疑問(仁木妹(悦子)の方は、探偵小説趣味から探偵興味を身に付けた、ということでまだ理解できるものの)であった。先行するシリーズ作品があるわけでもないし……謎である。
解説での乱歩賞の歴史についての一節が勉強になった。この作品は第3回受賞作ではあるが、現在のように新人の応募作にこの賞が与えれたのは、この作品が初であるとのこと。