yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

弁護側の証人

【弁護側の証人】小泉喜美子 集英社文庫 ★★★ 2005.10.6 絶版

 

 名作との呼び声高いミステリ。序章と終章の合わせ鏡的で皮肉な趣向のきれいな構造の作品だったが、期待していたほどには面白くなかった。ただ、先に読んだ「時の過ぎゆくままに」でも大いに感じられた、“女性であること”を考えさせる筆がここでも顕在しており、エナメル剥離剤を皮膚に塗るかの刺痛をときどき受ける。
 法廷尋問の進め方が迂遠なのはある程度分かり切っているので許せるが、迂遠な台詞は吐かせてもらいたくなかった。クライマックスでページを繰る手が鈍る。