yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

特集・幻の名作 硝子の家

【特集・幻の名作 硝子の家】鮎川哲也編 光文社文庫 ★★★★

 2006.2.10 本格推理マガジン

 

 ヴァン・ダインの「探偵小説作法二十則」とノックスの「探偵小説十戒」が載っているということで、読んでみた。ヴァン・ダインは、その厳格な性格が見て取れるよう。まあ漠然とした自己規範を文字に起こすと、多少は厳しい調子になるものだろう。ノックス氏は、多数の具体的作品を挙げながら、ねたばれを大いに含みつつ、ばんばんと切り捨てていくので、あまり印象は良くないが、自身の作法のことをヴァン・ダイン氏ほど念頭におかず、一探偵小説愛好者としての言なので、調子が軽いのだと思う。

 第一部の幻の名作三作の方は、長・中・短篇と揃っていて、どれも読み応えがあり、トリックの密度が、十分を通り越して尋常でなかった。「硝子の家」の硝子の密室では、硝子を融かしてまた固めるというようなトリックかと予想したが、大外れで残念。天城一氏の作風は、新鮮な印象。摩耶は、メタな探偵の“はしり”なのでは。