yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

現代詩文庫11 天沢退二郎詩集

【現代詩文庫11 天沢退二郎詩集】天沢退二郎 現代詩文庫 ★★★★ 2006.2.23

 

 どんな解釈もし難く、また自分なりにイメージ化することさえできない、偶(たま)にできても詩行を跨いで連続的にイメージを保てない、そういう意味で矢鱈に難解な詩群だった。その上、後の作品になるほど韻律からもかけ離れていくという、全くのアモルファス! とても読み進めない。

 と、このように詩のみでは馴染めない本であったが、後半の氏自身の詩論と、他詩人による詩人天沢退二郎論が、見事な作品解説となり面白かった。詩は薔薇属性だけれども、美とは無縁だし、そもそも“すべて”の彼方にある。表紙のいがぐり様の絵が、我々が“すべて”だと思う世界のように思えて、詩の眼を借りているような錯覚を催すが、“すべて”はこういう関係性をも包括した“すべて”なのだと言う。氏の詩はどこまで彼方にあるんだろう。