yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

バルーン・タウンの殺人

【バルーン・タウンの殺人】松尾由美 創元推理文庫 ★★★ 2005.11.9

 

 入手しづらいハヤカワ文庫版があったが、こちらの版元で再版されて俄然読む気になった一冊(きれいな状態のハヤカワ文庫版はそうそう見つからなかったのだった)。

 人工子宮利用が普通になった近未来SF的な設定。政治的シミュレーションが大変しっかり為されている(ように思える)ところに敬服。そしてそんなメタな思惑から程遠い、如何にもな大衆(映画「シザーハンズ」にも見られる)も読みどころ。各所言動にユーモア満載だが、登場人物の口からはつっこみが少なく、読者だけが笑える位置にいる。私的には伝説の助産婦という駒が一番のユーモアだった。

 カバーイラストがなかなか冴えている。というのは妊婦を凛々しく描いた絵を初めて見たため。