yh氏の日記

主に買った本を、メモがてら、ずらずら書いていきます。他に言葉集めなど。過去記事鋭意編集作業中。

2006-01-01から1年間の記事一覧

人形の家

【人形の家】トーベ・ヤンソン 冨原眞弓訳 筑摩書房 ★★★ 2006.2.19 トーベ・ヤンソン・コレクション5 旅行前に北欧文学でも齧(かじ)ろうと思い、それならばイプセンの「人形の家」から入ろうと思っていたところ、新進古書店にて偶然にも同じ書名でかつ北欧…

現代詩文庫11 天沢退二郎詩集

【現代詩文庫11 天沢退二郎詩集】天沢退二郎 現代詩文庫 ★★★★ 2006.2.23 どんな解釈もし難く、また自分なりにイメージ化することさえできない、偶(たま)にできても詩行を跨いで連続的にイメージを保てない、そういう意味で矢鱈に難解な詩群だった。その上…

十三妹

【十三妹(シイサンメイ)】武田泰淳 中公文庫 ★★★ 2006.2.18 武田百合子氏の日記作品をいくつか読んできたが、では夫の作品はどうなのか、と思って手始めに読んでみた一冊。 十三妹とは、どうやら十三人ほど人を殺した娘といった意味らしい。それなら十姉妹…

特集・幻の名作 硝子の家

【特集・幻の名作 硝子の家】鮎川哲也編 光文社文庫 ★★★★ 2006.2.10 本格推理マガジン ヴァン・ダインの「探偵小説作法二十則」とノックスの「探偵小説十戒」が載っているということで、読んでみた。ヴァン・ダインは、その厳格な性格が見て取れるよう。まあ…

童話集 風の又三郎 他十八篇

【童話集 風の又三郎 他十八篇】宮沢賢治作 谷川徹三編 岩波文庫 ★★★★ 2006.1.19 擬音語や擬態語に自在さと共に、平仮名遣いが上手いところが羨ましい。いつ頃からか私はどうも漢語遣いに走りがちで、そのために妙烈とか酷大とか、造語のようなそうでないよ…

竹田読本

【竹田読本】佐藤弘/森千鶴子 西日本新聞ブックレット ★★★ 2006.1.18 竹田市は大分県にある。私は言わば竹田市のファンであるので、この前行った年越し山行直後、汗を流しに行った花水月という名の竹田温泉の番台にて、この小冊子を見つけ、裏にISBNまで振…

葦と百合

【葦と百合】奥泉光 集英社文庫 ★★★ 2006.1.14 ミステロイドという言葉に倣えば、この作品はノベロイドといったところか。 断片は面白く、相変わらずの軽妙さと堅苦しさの入り混じる語り口は好みなのだが、無目的で長大な虚篇、無い核を囲うがらんどうである…

腐蝕の惑星

【腐蝕の惑星】竹本健治 新潮文庫 ★★★★ 2006.1.7 絶版 改題されて後に出た「腐蝕」を読んでいたので、ほぼ再読に当たる一冊。 カラリスト(色の駆使者)だなあと思う。ある色ない色(造語による色)ぽろぽろ飛び出してくる。“それ以後”は、無機質な世界にな…

プリズム

【プリズム】貫井徳郎 創元推理文庫 ★★★★ 2006.1.5 勝負師だなあという感じ。ミステリの一要素を、先人の類例作品にも増して、より純粋に提出してみせてくれている。探査光の入射角も自由なら、得られる分光も好き放題の回折角で競って煌めき合う。「慟哭」…

GOTH 夜の章

【GOTH 夜の章】乙一 角川文庫 ★★★★ 2006.1.4 第3回本格ミステリ大賞受賞作 文庫で分冊されたのは驚いたが、薄い方がより若年層に購買され易い、つまり直撃しそうな読者層に読まれ易くなるのではなかろうか。戦略的には上手い。 収録3篇の内では、「暗黒系」…

野ざらし百鬼行

【野ざらし百鬼行】赤江瀑 文春文庫 ★★★★ 2005.12.20 絶版 そろそろ赤江瀑作品に慣れてきてしまったのか、あまり味わい深く堪能できなかった一冊となってしまった。全体としてうねりがゆるく、里山を散策するような感覚。危険箇所や陥穽も少ない。 赤江瀑作…